公益社団法人 新川青年会議所

2019年度
第49代理事長 関口 雄介

 

スローガン「百折不撓 」

~一期一会の機会を活かし己を信じ突き進む~

はじめに

本年、一つの時代が終わりを遂げます。この平成は皆様にとってはどのような時代だったでしょうか。平成初期は不動産と証券の投機熱により好景気にありながら、バブル崩壊後は一転し不況時代に陥り、これに伴い学生が就職難となり就職氷河期といわれた時代で5した。その一方で、現在は少子高齢化の影響により働き手となる若者世代が減少し、若手の雇用に苦しむ企業が多く存在しています。また、近年毎年のように発生する異常気象や天災の影響により、全国的に甚大な被害が発生し、多くの尊い命が失われました。私は経済や環境が大きく変化する、まさに激動の平成だったと思います。 新川青年会議所はこのような時代の中でも、地域社会の健全な発展を目指し幾度となく挑戦しつづけ、自身の資質向上と地域の啓発に努める活動を行って参りました。48年の長きに亘り、不易流行しながら歩んでこられた先輩諸兄の功績に敬意を表します。 私は新川青年会議所に入会し様々な経験をさせていただきました。入会以前の私は敷かれたレールを歩んでいたに過ぎず、失敗を恐れ、自ら物事と正対することを避けて生きてきました。しかし、多くの先輩諸兄やメンバーに出会い、自ら地域の未来のために活動する仲間の姿から挑戦する大切さを教わりました。私たちが行動を起こさなければ、誰がやってくれるのでしょうか。今、新時代を迎える中で私たちに求められることは、地域が衰退していくことへの危機感を持って自ら課題解決に立ち向かうことです。 今こそ個の力を結集し、地域のため、人のため、そして自分自身のために行動していきましょう。我々には必ずできることがある。 我々青年にしかできないことがある。 失敗を恐れず百折不撓の心で突き進もう。

百折不撓(ひゃくせつふとう)

大意:何度失敗しても信念を曲げないこと。

「百折」は何度も折れること。

「不撓」は決して曲がらないこと。

物事が何度途中で駄目になっても決して諦めないという心。

新川のまちづくり創造

我が国日本は少子化による人口減少と超高齢化による社会保障費の増加等、世界の先進国の中でも類を見ない多くの社会問題が存在し、課題先進国と呼ばれております。そして地方における人口減少の原因の一つとしては、転出が転入を上回る社会減が挙げられます。この要因の一つに、若い年齢層の人たちが進学・就職をきっかけに地元を離れ、そのまま他の土地に定着してしまうことがあります。このようなことは地域の活力を失うことに直結し、まちの衰退に繋がります。では、若者のニーズはなんでしょうか。働き口、地域の魅力、子育て環境等、様々あると思いますが、若い年齢層の人たちが「戻ってきたくなるまち」、「住みたくなるまち」を考えていく必要があります。 また、市民の自発的な社会参画意識が乏しい国柄において、まちづくりは、時代に即したテーマで市民の共感を得る必要があります。広く社会に伝播できることを念頭にまちづくりを考えることにより、市民の参画意識を芽生えさせ、地域の人びとと共に新川の未来をつくりあげます。 さらに、2015年に新川・滑川・黒部コミュニティ推進協議会を発足しました。今後も効果的な青年会議所活動を行うためには、同じ境遇の同志とLOMの垣根を超えた友情を育むことにより、より強固なネットワークを構築することが必要です。

自社の発展なくして地域の経済成長なし

私たち新川青年会議所メンバーは、青年経済人の集まりです。東京一極集中が続き地方が疲弊している中で、地域経済の一翼を担う私たちの責任は重大です。景気は緩やかに回復していると言われている一方で、まだ私たちにはその実感がありません。また、目まぐるしく変わる経済状況と社会構造の変化による労働人口の減少は、企業の経営課題をより複雑にしています。今の青年経済人には、変化する時代に対応できる知識と備えを持つことが必要です。果たして私たちは経済をどれだけ理解しているでしょうか。経済を知ることは国の経済活動である財政政策の真意が掴めるようになり、また景気の動向や先行きを見通す上での判断材料になります。さらに、経営者に必要なことはリーダーシップ、先見の明など様々ありますが、私が一番大事に思うことは明確なビジョンを持って行動することです。ただ目の前の目標を達成するだけでは自社の成長に繋がりません。現状を正確に捉え、変化する時代に対応する明確なビジョンを持って行動することで、複雑な経営課題を克服し、企業経営を存続させることができます。 そして、いつの時代も経営者として必要なことは「熱き情熱」を持つことです。「情熱を持つ1人は、情熱を持たない100人に勝る」ディズニー創業者ウォルト・ディズニーの名言です。どんなに素晴らしいアイデアや技術があろうとも情熱が無ければ成功はありません。情熱は人の心を動かす力となり、どんなに困難な壁があろうとも乗り越えるための原動力になります。真の経済人を目指し、個々が成長し自社を発展させることで地域経済が潤い日本経済の成長に寄与します。

新川の未来のために

私たち日本人は古来より培ってきた他を慮る道徳心があります。戦前の日本には道徳に相当する修身という教科があり、努力や親孝行や正直といった内容を子供に教えていましたが、終戦後GHQによって廃止されました。そして現代、2017年に新学習指導要領が公示され、2018年から小学校における道徳の教科化が実施されています。このことは道徳を重視するという意味において非常に意義深いことでありますが、制度を変えていくだけで教育は確立されるものではありません。子供にとっての最初の先生はやはり親です。親が道徳心を学び、子供とともに「共育」していくことが必要です。また、次世代を担う子供たちに様々な体験活動を通して学習の機会を提供することは、我々青年会議所の使命です。子供たちに普段経験できない試練を与えることで、忍耐力と壁を乗り越える力を養うことが出来ます。そして、その経験は天真爛漫な幼少期における最高の思い出となり、一生の財産となります。さらに、この思い出と感動は故郷を愛する心を育み、やがて故郷を離れた時に思い出し、帰巣意識に繋がると信じます。

地域の宝「わんぱく力士」のために

本年度で32回目を迎える、わんぱく相撲新川しんきろう場所は、新川青年会議所を代表する事業の一つです。わんぱく相撲は、日本人としての文化や精神性を学べる貴重な場です。日頃経験できない相撲という競技を通して、同世代の子供たちと本気でぶつかり合い、勝つ喜びや負ける悔しさを体感することで、将来誇りと自尊心を持った大人になることができます。また、この体験が新たな友情を築くきっかけとなり、子供の交流の輪を広げ豊かな人間性を育みます。これからもこの事業を通じて、子供たちにわんぱく相撲の魅力や素晴しさを伝えていくために一人でも多く参加者を増やし、未来を担う子供たちに学びの場を提供していきます。

北方領土返還

2016年、日露首脳会談で北方領土での共同経済活動の交渉を進める宣言があり、解決の兆しが見え、長年の成果が実を結ぶかと思いました。しかし、昨年プーチン大統領からの無条件平和条約締結の発言があり、問題の解決どころか未解決の方向に進む等、依然として解決に向けた厳しい状況が続きます。新川青年会議所は創立以来、長きに亘り北方領土返還要求運動を行って参りました。私たちはこれからも、北方領土問題を取り巻く世界情勢や地政学、外交関係を正しく理解し、これらの知識を市民に広めることで、北方領土問題の重要性を伝え、返還要求運動への意識を高めていきます。これからも根気よく北方領土返還要求運動を続けることによって、輿論を喚起し、国を動かすことにつなげます。 また一昨年、根室青年会議所と友好45周年の節目を迎えることが出来ました。LOM の垣根を越えて、根室青年会議所メンバーと交流することができるのは、長きに亘り先輩諸兄が築いてこられた友情のお陰だと思います。この遠く離れた同志のためにも北方領土返還要求運動を続けていきます。

会員拡大と魅力ある人財として

人口減少や少子高齢化の影響もあり青年会議所の会員数は減少傾向にあります。このまま減少が続けば青年会議所活動は縮小し、会員の成長の機会が失われていきます。では、会員を増やすために必要なことは何でしょうか。それは私たちが魅力ある存在であり団体であることではないでしょうか。どんなに素晴らしい活動をしていても、その活動内容が知られず、団体の魅力が伝わらなければ、入会したいとは思わないでしょう。 私は新入会員の勧誘を行う時に、 「魅力ある人財が集う青年会議所に入会すれば、沢山の出会いの中で必ず成長できる機会がある」と伝えてきました。そして、私の思いに賛同し入会してくれたメンバーが沢山存在します。しかし近年、魅力溢れる先輩が多くご卒業されました。本当に寂しく思いますし、組織としてはかなりの痛手です。次は残された私たちが魅力ある人財となり活動し、会員拡大に邁進していきます。また、メンバーは例会・事業に参加する中で目的意識を持って参加することが重要です。青年会議所には成長する機会はありますが、自らが何かを吸収するという気持ちが無ければ一向に成長しません。つまりは常日頃からの心の持ち方が大事です。さらに日々の活動の中で、如何に積極的に参画することが必要です。人は人でしか磨かれないものであり、様々な価値観と個性を持った仲間が切磋琢磨することで得られる成長と一生の友と呼べる固い絆に繋がります。青年会議所は40歳で卒業します。この限られた時間の中で、如何に成長意欲を持って行動することが魅力ある人財の礎となり、地域を牽引するリーダーへと成長します。

創立50周年に向けて

新川青年会議所は2020年に創立50周年を迎えます。前年度にあたる今年はメンバーが一丸となって準備していくために、新川青年会議所の歴史を今一度振り返り、脈々と受け継がれる伝統と先輩諸兄の熱き想いを感じる機会が必要です。また、先輩諸兄が長年築いてこられた「新川らしさ」を継承し組織を強化することで、創立50周年に向けてしっかりと準備を行っていきます。

結びに

青年会議所はやるかやらないかです。何事もやらなければ分からないし、やらなければ成長はありません。今後、活動する上で、様々な困難に直面し、大きな壁が立ちはだかろうとも、恐れることなく挑戦し行動することにより、必ず道は拓けます。そして私たちの一つひとつの挑戦が、やがて実を結び、新川地域の明るい未来に繋がります。最後に、青年会議所活動は様々な方々の協力の基に行えます。すべての人に感謝すると共に、一期一会の機会を活かし、百折不撓の精神で己を信じ突き進もう。